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私の楽譜製本法2(両面印刷譜の場合)

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”きれいに仕上がる楽譜製本”をUPしておよそ6年経つ間に幾らか要領も良くなって来たので、今回改訂版をアップロードすることにした。片面印刷の楽譜を裏表に貼り合わせて製本する前回の方法は、楽譜係から貰う楽譜をそのまま使う人の為に削除せずにおく。めくり易さは今回の方が良いものの、使う楽譜は楽譜ソフトで作成してそれを両面印刷するという前提に立っている。勿論片面印刷楽譜を貼り合わせたものを今回の方法で製本する折衷案もOK。ただしその方法では貼り合わせ方によってはページがカールしてしまわないように貼り合わせるたびに重しでしばらく押さえてやらねばならない。

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製本作業に取り掛かる前に製本道具を作ろう。
最初の画像4枚をご覧頂きたい。4ミリ厚内外のベニア板が3枚、真ん中の1枚は楽譜2ページ分よりも縦横とも2〜3センチ程度大きいもので、両端の2枚は閉じ合わせた時に4センチ程度の隙間が出来る幅で、しかも縦方向の寸法は真ん中のものより1.5センチ程度短く作る。それぞれを画像のようにカラー荷造りテープで裏表から貼り合わせる。この時に、<私の楽譜製本法1>にある3枚目の概念図のように裏と表では貼る要領を違わせないと折り畳めないものになってしまう。厚めの製本が予想されるならここの綴じ合わせ目は若干ルーズに貼り合せる。また真ん中のベニア板の下端には小さくて薄めの棒を画像のように接着する。その際は物差しなどの真っ直ぐなものに沿わせながら接着することはとても大事で、少しでも歪むと楽譜製本の能率に影響する。次に真ん中の板の中央に幅12ミリ程度のラインをマジックペンなどで記入する。これも先ほどの棒に対してきれいな直角に書き込むこと。

こんな作業の持つ意味はこの小文を読み進むと理解して頂ける事と思う。
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では製本作業に入る。
印刷した楽譜のページが順番どおりになっているのを確認してから1枚目と2枚目を画像のように下端の棒に押し付けながらきっちりと隙間なく並べる。
並べた2枚の楽譜のちょうど中央に黒いマジックペンのラインが来るように丁寧に作業する。
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両側のベニア板を畳む。その際、折角きれいに並べた楽譜が歪まないように慎重に。
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きれいに並べた楽譜を紙ばんそうこうなどの和紙テープで貼り合せる。ベニア板に描いた黒ラインはテープを真っ直ぐ貼る為に楽譜上下の目安として使う。

楽譜ページ貼り合わせに使う場合和紙テープと樹脂テープの違い
紙テープによく似ているがサージカルテープなどと銘打たれたほんのわずかに硬いものがある。それを薄手のコピー楽譜に使えばカールしてすっきりとめくれない事が時としてある。テープはどれでも似たようなものだ、と安易に考えない事をお勧めする。
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両側のベニアを開いてからテープの両端を切れば、綴じ合わせ面を下にして何度か打ち付け、ページ同士の歪みを取る。私は貼り合わせ作業が一つ終わるたびにこれをしている。その効果の程は?・・・良く解らない。テープを使う前の、譜面を並べ合わせた時に既に精度は決まってしまっているのかも知れない。
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このようにして2枚ずつ順番に貼り合わせたものが出来た。次は最初に貼り合せた2枚ペアと次の2枚ペアを全く同じ要領で貼り合せる。そのたびに背を床に打ち付けて歪みを取る。それが済めば最初の4枚綴りと次の4枚綴りを貼り合せる。それを繰り返す。最後には厚みの違う綴り同士を貼り合せる羽目になると思うが、その時厚みの違う程度によっては厚い方の綴りの何ページかを拡げて伏せ、薄い方に下駄を履かせる形にすれば作業性が良い。
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全ページを綴じ終えたらはみ出ている紙ばんそうこうを切り取り、念のために背表紙側を更に何度か床へ打ち付けて形を整える。このような作業に慣れれば前の小文でご紹介したようなカッターで切り揃えるまでもなく綺麗な製本が出来る。
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さて、ここから道は二手に分かれる。

一つは楽譜枚数が14〜5枚程度の薄めの製本で、しかもコンサートで数回使うだけの場合は簡易製本で良いだろう。もう一つは記念にずっと残しておきたいのでいくらかは綺麗な仕上げをしておきたい場合。
それぞれについて述べておく。

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■簡易的な製本

先ほどまで使っていた紙ばんそうこうを表紙側に貼る。画像では判りにくいが、4ミリ程度の幅で歪まないよう慎重に貼り、ハサミで切り離す。およそ6ミリは表紙からはみ出たままにしておく。
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そのままそっと裏返す。
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本の背を床に摺り足で触れさせながら手前に引き上げる。そこでトントンと床に打ち付けて テープと本の背を馴染ませる。これを十分に馴染ませないとめくりにくい楽譜が出来上がってしまうのでここも注意。下の画像は背を打ち付けている様子。
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更に摺り足のまま本を向こう側にそっと倒す。
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綴じ合わせ目を押さえて裏表紙にテープを馴染ませる。これで出来上がり。この楽譜の用紙グレードは90グラムと言う少し厚めのコピー紙を10枚使って本にしたが、 本の厚みは2ミリ、従って表紙・裏表紙とも4ミリづつの幅で貼れている。
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綺麗に見える製本

下の画像は手芸品店の<貼れる布地>のコーナー。製品名は<布シール>と書いてあった。これらは適当に切って裏紙を剥がせばそのまま貼れる。柄は選り取り見取り。
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真っ直ぐ貼るためにベニアに1本線を引いたものを作った。
布シールを適当な大きさに切り、ベニアには線に沿って片側だけ点々と両面テープを貼り付ける。ここで次の行動は線の左に置いた布シールを黒ラインの中央に置いて両面テープに貼り付けてから裏紙を慎重に剥ぎ取る。
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黒ラインを目途にして本の背表紙を布シールにあてがい、そのまま倒す。本はページがずれないように大きなクリップで数箇所止めて置くと良い。
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上になったフリーのままの布シールを物差しなどですくい取ってそっと倒す。
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出来上がり近接画像。
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出来上がり全体画像。仕上がりはおしゃれだが、一つだけ欠点があって背に使った布シールは薄いとはいえ、最初と最後の楽譜が貼り付けた布シールに引っ張られて綺麗にめくれにくい傾向がある。このような場合には、表紙・裏表紙には硬めの別の紙を使うか、又は製本した後で問題だなと気付いた時は硬めの紙を製本した寸法よりわずか大き目にカッターで切り、製本済みの方に(これから貼り付ける新しい表紙の方にではない)スプレー糊を吹いて本の裏表それぞれに貼り付け、その上で再度背表紙を貼り付ける方法がある。こうすると<本>らしい雰囲気も出て来る。
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2010・9・14

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このテーマの小文は2009年2月に一旦書き上げて公開していたものだが、このたび新しいアイデアで道具を作って使ってみるとそれまでのものよりは楽に綺麗に作業出来るので、大部分の古い小文と画像を削除し新しいものに入れ替えた。

2011・1・22 加筆訂正

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これは文豪具店で売っているマスキングテープではなく、DIY店のマスキングテープ。建築現場で塗装工程などで使われるものだが、これを製本に使って見た。
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その動機は、曲ごとに製本していたものを数冊まとめて1冊に仕上げ直したところ、後からつないだページ同士がバラけてしまいそうだし、分厚くなってしまった楽譜の背表紙に従来の紙絆創膏では幅が若干心もとない。ここはテープの接触面積が広いものをと考えて、倉庫の中に養生テープを持っていたのを思い出した。養生テープは薄くて幅広、しかも好きな幅で縦に裂けるのでこんな時に助かる。
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養生テープを楽譜製本に使うのは安いし目的に叶っている。また本の背表紙に使う製本テープはどちらかと言うと硬いのでページがめくりにくくなってしまう欠点もあるが、養生テープはテープ幅が広くても柔らかいので使い良い。一つ問題は雰囲気に欠ける事。永く保存するのではない楽譜製本ならばとても良いもののようだ。養生テープには結構種類がある。接着性能が弱すぎない薄い樹脂材質(ポリプロピレン?)を選ぶと良いのではないだろうか。画像のテープは左が幅50ミリ、右が幅38ミリ。ここで使ったのは38ミリで、背表紙にはそのままを使い、ページのつなぎにはそれを二つに裂いて使った。
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2011・6・30 加筆

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