弦の緊急結線

突然弦がバツッと切れてしまった、でも自宅での出来事ではないので予備の弦を持っていない。こんな時にどうにかする方法を教えて貰った。

これは私のバスで実際に起きた出来事なのだが、たまたま居合わせたピアノの調律師さんが慣れた手付きで弦同士を結びつけてくれた。結び目が上駒の更に上だった事もあるせいか弾いても不自然な音には聞こえなかった。それどころかその後2ヶ月間毎日弾いたが切れない。コンサートの前になってそのまま舞台へ上がる度胸はないのでやっと新品に替えたが、こんなテクニックを知っていれば自分自身だけでなく合奏仲間の役に立つ事があるかもしれないのでご紹介する。

結線の様子をCADで描いたが、これで十分お解かり頂けると思う。私が切ったのはE線だったが、切れた部分の銀巻き線をほどいてE線に巻きつけている。もし切れたのがG線などで巻き線が細くて使えないなら適当な線なら何でも良く、巻きつける線には大きな力は掛からないからしっかり巻けば木綿糸でも良い筈だ。弦を結び合わせる時の曲げは急角度にしないで緩く曲げ、ペグで巻き取ってゆくに従って締まるようにすれば良い。

切れる場所が指板上などの場合このような修理をすると弾きにくくて困ると思うが、切れたままだとその日の合奏練習を指をくわえて見るだけになってしまうのでやらないよりはましだ。

弦の断線はいつ起こるか判らない。そこでそれに備えて極細の針金と小さいラジオペンチが私のアルミアタッシェケースの中に加わる事になった。

2008/10/10