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吸音と響き その2

もし新築する際に 音楽の為の部屋を作るなら響きと遮音/吸音などの調節の為には更にいくつかのポイントがある。

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豊かな響きのために。
出来る限り部屋の容積を大きく取る事。 間取りの上で制限があれば天井を高くして容積を稼ごう。私の家のLDKとそれに続く廊下は仕切らず広く取っているので、そこで楽器を弾くととても響きが良い。天井はとくに高いわけではないがトータル容積の問題。でも下手なコンバスは気分が悪くなるらしく、女房殿から撃退される。

天井高を稼ぐとは書いたが、同じ部屋の一部だけ特に高い天井にするのはよくない。響きが場所によってかなり変わり、不快とも思えるほど。

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遮音のために
音楽練習室は出来たら平屋部分に設置する方が良い。理由は二つ。直上に二階があると遮音に苦労する、(二階に造っても直下に響く)もう一つは平屋なら天井高を確保しやすい。望むなら普通の高さに天井を設置せず、屋根地の直下に屋根地なりの勾配を持った天井板を張れば容積は確保できる。その際、梁と小屋束は室内に露出するのでそれなりの仕上げをする。その場合の遮音は通常の天井より弱くなるので出来たら対策を考慮したい。また、部屋は家の間取りの中程でなく、端の方へプランする事も出来れば奨めたい。その部屋の隣は居室にしない方が良い事は前の章で述べた。

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吸音のために
室内の吸音には穴明きの吸音ボードを 誰しも考え勝ちだが私は反対だ。部屋がみすぼらしく見える恐れがあり住宅の内装材として余り適当とは言えず、スタジオなら兎も角だが音楽的な雰囲気に浸れない。それよりも仮に性能が少し落ちるとしてもコルク板/漆喰/板壁等を組合わせたほうが良い。全部を同じ材質で揃えないほうが音の為に良いと思うが、その際デザイン的に煩わしくならないように配慮したい。

吸音で最も難しいのが低域の吸音。 本によると低音は部屋の隅に集るとの事だ。そこでアイデアが浮かび、私の家では天井と壁が接する4辺の全ての天井側にスリットを入れて、その天井裏に大量の吸音材を詰め込み、そこで低域を吸収する事にした。

天井裏へ通ずる その4辺の細長い開口部にはルーバー(細めの木製の桟)を打ち付け、デザイン的にも成功したと思っている。ルーバーは吸音材が落ちてこない為の支えになる。更に吸音材とルーバーの間には暗い色の布を貼った。その天井裏から他の部屋へ音が漏れないよう、その上部に更に音響上の天井を貼った。変形二重天井である。

実は 天井板として ランダムに打った下地桟に薄目のベニア板を打ち付けビニールクロスを貼っても低域は吸収できる。(遮音用ではない事に注意)下地の桟は特定の周波数だけを吸収させない為ランダムに打つことが条件だが、間遠に釘止めした個所が永い間に垂れ下る事を心配してそれはしなかった。半分から上方の壁に施工するのなら垂れ下がる事も無く、体が触れる事のない高さならベコ付きも感じず良いかもしれない。

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鳴き竜を防ぐ為に
建築で出来る事は 正方形の部屋を避けて 平面の間取りに少し凸凹をつける事だが、やり過ぎると居心地との絡みも出てくる。曲面壁は落着けないし手間が掛かる。

壁材として 杉の小径木を厚めに削いだ 一寸見はスケールの小さい丸太小屋風の内装材が、音の乱反射を助けて鳴き竜現象を防いでくれるので、適当ではないかと思っている。しかし如何に音響的に優れている材料とはいえ、一般住宅の壁が下から上まで板で構成されるのはうっとうしいと思うが如何だろうか(板は経年変化で次第に暗い色に変わる)。

鳴き竜対策を天井に施すのなら壁よりやりやすい。二段天井は雰囲気も良く検討に値する。波型天井は音響的に更に良いが落着いた雰囲気が出せるかどうか。かまぼこ天井は音響レンズになるので不可。斜め天井はオーディオ装置をどの方向に置くかの検討が必要だが、純粋に楽器練習室とするなら斜めにする方向は考慮しなくても良い結果が出るだろう。

いずれにせよ、音響への配慮はとても大事な事ではあるが、長時間居なければならない居室である事も間違いのない事実、双方が両立する様に配慮したいものだ。

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最後に音とは関係がないが、日当たりの良い部屋は避けた方が賢明。楽器に日が当たって良くない。それかと言って、いつもカーテンを閉めておくのはうっとうしい。庇を出して防ぐ方法もあるが外観を損ねる恐れもある。それ以外にもまだ防ぐ手は残っている。

もし庭に面しているのなら高めの樹を植える事。適当に日射を防いでくれ、緑を眺めながらの練習なら熱も入るだろう。これは新築のプランで西に窓をつけざるを得ない場合にもしばしばお奨めしている。

2000/11/29

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