| 玄関 | | | 管理人室 | | | 音楽ホール | | | バシスト控室 | | | 合奏団控室 | | | 工房 | | | ギャラリー | | | 奥田治義の世界 | | | 遮音室 | | | 娯楽室 | | | ロビー |
トップページ>工房>コントラバス奏者の工作室>コントラバス椅子の製作>このページ演奏用折畳み椅子■ バス椅子の変遷その1バスは通常立って構えるが,ちょっとした演奏会場にはバス演奏に使える金属椅子が用意してあって楽が出来る.しかしコンサートの時だけの使用ではいつもと違う姿勢が“音のツボ”を押さえるのに悪影響を及ぼす.
*
そこで専用椅子を作って,常に同じ椅子で座奏する事にした. 具体的には材質は木製,座面はパンヤを入れたビニール布,前の2本脚は根元でヒンジをつけ後脚方向へ折り畳めるようにし,開けばカチンと金具で止まるようにした.前脚には左足を乗せる為のステップを取りつける.座面の高さは自分の足の長さに合わせて作り,腰の高さが変わらない様にした.しかしその後脚はかなり切り落して使っている.現在のものはフロアレベルから座面までの高さは68センチ.
*
第一号作品は丈夫過ぎ,重くて失格. この椅子は創設に参加したデルムジカ室内合奏団の指揮者用に後になって献上した.第二号作品は細めの木材を使って寸法を少し詰めどうやら合格.重心位置に,弓のケースに付いていた取っ手を外してこれをビス止めし,カバンのように持ち運ぶ. 更に練習会場の床が滑りやすい時エンドピンがずれて行く事を危惧し,室内犬の散歩用の細く編んだ紐をDIY店で見つけ前脚2本の足元に取り付けてループにし,その先に木片をつなぐ.木片にはくぼみをつけそれに乗せるエンドピンがずれ落ちない様にする. 第二号作品が完成したのは14年前.それ以来愛用している.最近になって譜面台をくくりつけて一緒に運べる様に,マジックテープを脚の上下2個所に中型ホッチキスで留めた.エンドピン用の木片も持ち運びの際ブラブラ垂れ下がらないよう粘着マジックテープを脚と木片に張りつけて簡単に留まる工夫をした.作る時にはうっかりとして想定しなかった使い方ではあるが,練習の休憩時間には楽器を椅子に寄りかからせている.永い間それで使ってきたが紐に繋いだ木片にエンドピンを刺しているとはいえ,見るからに不安定なので,このたび楽器の転倒を未然に防止する目的で全体のバランスと構造を考え直して第三号作品の図面起しをしている.その際は座面の高さを更にもう少し下げようと思っている. その分エンドピンで調節すれば良いわけだ. 実物が完成すればご紹介しよう.
*
この折畳椅子を使うようになって, 設計当初あまり変えないつもりでいた演奏姿勢が少しずつ変わってきた.最初の計画は片尻だけを乗せるつもりであったが,脚を切り落としてからはチェロの演奏姿勢に似てきた.椅子に両尻を下ろし,楽器を少しあお向ける構えである.ステップはたまたま椅子の足幅一杯に作っていたので両足を乗せる事が出来る.欠点は弓の先を使う時G弦では普通以上に手首を突き出し,E弦では下げなければならない.そのほかの欠点は私には見当たらない. ハイポジションを使う場合は棹が寝ている為に大変楽で,譜面を見ながらでも左手とポジションの位置関係を感じることができる.ローポジションで手首は耳の後に行ってしまうがこれは特に困った事ではない.バイオリン属の楽器で言う”弓の重さで弾く”事もイメージ的ではなく実際に行える.だから脱力するのもやりやすく弓を持つ手も楽である. 最近,あるプロで チェロと同じように楽器を両足に挟んで弾く人がいると知った.そこまで徹底するのか.ならばフレンチ弓は当然だろう. 試みにジャーマン弓をフレンチ式に持って弾いて見ると,音量は落ちると思うが軽快な弓さばきが出来そうだ.私がやりたいと思っているのは相変わらず小編成の弦楽合奏なので音量は左程問題にならない.手首のスナップが利くのは有利.先ほど挙げたこの座奏の欠点もカバーしてくれそう.習熟すればジャーマンスタイルより良いかもしれない.私の今のやり方をもう一歩踏み出せば良い.バスを製作者が寸法を間違って大きく作ってしまったチェロだと思いなおして見ようか. 又買い物が増えそう. 最後の問題は, この弾き方では裏板上部つまり棹の付け根がみぞおちに当たる.チェロ式奏法は楽器の形を選ぶのではないだろうか.フラットバックで楽器上部の厚さの薄いものがこの奏法に適した楽器だろう. 2000/10/22 |