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作業に取りかかる前に

■作業環境
楽器を良くしようとして逆に傷つけてしまっては何にもならない。先ずは楽器を痛めない為の作業環境について。

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作業は作業台を使う事がお奨め。作業台は立ってメンテするなら食卓、座ってするなら応接台が適当だが、台が余り狭いと思い掛けない衝撃で楽器が落ちるかも知れないので広目のものが望ましい。同じ理由で軽い台も出来たら避けたい。その上で万一落ちた時に柔らかく受け止めるもの以外は周囲に置かないように気を付けよう。食卓を使うなら向こうの椅子の背に掛け布団を掛けておくと良いだろう。その掛け布団は座面側にしっかり引っ張っておいて万一楽器が触れても簡単にはひっくり返らないように重心を手前に持ってきておこう。

作業の種類によっては畳やカーペットの上に座り込んでする事も出来るが、スクロールの後頭部が床に支えて楽器の背中が浮き上がるのと、低い所に置けばそれだけ楽器を痛める事故の可能性が大きいのが難点。

作業は廻りを人が通らないように個室でするのが望ましいが、それが不可能なら、壁に面するかコーナーなどの場所を選びたい。最低でも突き出したネック/スクロールに脇を通る人が触れないよう椅子などを置いてガードしよう。壁に面するなら物が落ちてくる心配がないようにしておく。台には毛布を畳んで掛けるか、薄目の肌布団を敷いておく。台の角に楽器を当てないよう周囲に垂れる位に広げる事。毛布は若干滑りやすい欠点があるが楽器を水平にしたい時はベスト。掛け布団では分厚すぎて楽器が安定しない。

私の楽器はフラットバックなのでべったりと台に密着させれば水平性はおおむね保てるが、ラウンドバック楽器の水平を出したい時は、厚さ45ミリ幅90ミリの木材を買ってきてボディ端部形状に合わせて変形四辺形に組み上げ、その上に毛布などを敷いてからベタ置きしてはどうだろうか。ラウンドバックの背面ふくらみは3センチ程度だと思うので(私の以前の楽器がそうだった)厚さ45ミリで良いと思う。ちょっと力を加えただけで楽器が不安定に動き回るのは作業しづらいので水平性が必要でない時でもこの仕掛けは便利と思う。フラットバックならスクロールの後頭部を何かで持ち上げてやればよい。私はソファに本を重ねてスクロールを乗せている。

手元の明るさは十分に取りたい。物差しはミリ単位、ノギスでは1/10ミリ単位を読み取らなければならないので天井照明だけで不十分なら補助照明を用意されたい。趣旨は異なるが陽が当たる窓辺ならカーテンを引いておこう。

楽器の上では不用意に作業をしない事。物を取り落としたり道具などを触れさせて表面板を傷つけないようにしよう。作業は集中した気持ちを持ち続ける必要がある。だから気分の落ち着かない時は避けた方がよい。それでもうっかりミスはあるものだ。弦を張りかけて何と魂柱を忘れたのに気付いて冷や汗がどっと出た事がある。

必要な道具類は行う作業の種類によって変わるが、それらは事前に揃えておこう。又作業する足元に物を置かない事。つまずいて悲惨な結果を招かないとも限らない。

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これで舞台準備が出来た。次の小文から具体的な作業に入る。弦の交換から始めて魂柱の加工までを易しい順番からUPして行く。

2003/11/12

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