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駒の位置/傾き

最初のチェックは駒の足は表面板に密着しているのに頭だけ指板側に曲がっていないかどうか。もしお辞儀をしていたらその駒はメンテナンスを諦めて交換するしかないから考慮から除外する。

次に駒足位置のチェック。
弦を、駒は動かせるけれども魂柱が倒れてしまわない程度に緩めて、F孔中央の内側の切れ込み同士を結んだ線に駒の芯を合わせる。目視では正確に合わせられないので”駒ガイド”を使う。駒ガイドはDIY店で樹脂の平棒を買って30センチ強に切り取り、レンジであぶって表面板に沿うようにわずかに曲げた二本セットのもの。画像のように駒を挟んでF孔切れ込みに合わせる。

次に楽器の表板を正面から見て楽器の中心線と駒の縦の中心線を合わせる。これも実際に目視で中心線同志を合致させる事は不可能なので、F孔から駒の左右の足の端までの距離を物差しで見比べた方が良い。なお念のためにスクロールの直ぐ上に目を置いて指板と駒両方のカーブをを見通す。もし駒を真ん中にセットしたにもかかわらず指板と駒のカーブ位置がずれていたらG弦E弦のどちらも弾きにくいので駒を楽器の左右中心に持ってくるのは諦めなければならずこちらを優先する。駒を上下方向に調整するとその結果左右方向がゆがむ事があるので作業の工程毎に全てをチェックしよう。

定位置へ誘導するには手で叩くのが一般的だが、スリム金槌を使って駒を軽く叩けば微妙な誘導が出来る。この駒ガイドとスリム金槌を使う方法は従来の目視と手刀で位置調整をするのと比べて格段に良い作業性を実感されるはずだ。

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次に 立つ傾きのチェック。
駒のエンドピース側(裏側)の面が駒直下の表板と直角であるかどうか。いわば駒がステージの床に向かって、のけぞって立っているように見える形である。 曲尺を当てて確認する際は画像のように駒に押し当てるのではなくわずかに隙間をあけてその隙間の出来方を見る方が解りやすい。隙間が均一でなかったら足の裏を削る。微妙な削りは小さいスクレーパーを使ってするものだと思うが、これは未経験。

駒の位置/傾きは休憩時間楽器を横たえる時に時々目視チェックしよう。ソフトケースに入れて運搬する時など、物にぶっつけたショックが小さくて大丈夫だろうと思っていても実はかなり駒がずれていた、と言う事はあるものだ。

近年、弦の滑りを良くする為にティンパニの皮を間にはさむ方法を知った。この場合も駒の溝へと同じようにティンパニ皮に鉛筆をすりつけて置く。前後に余った皮は弦に触れさせない為に駒に沿うようになでつけておく。

もし駒位置をかなり動かすなら魂柱位置とも絡みが出てくる。駒/魂柱は相互に関連があるので一方だけの処理で終えてはならない場合がある事を基礎知識として頭に入れておく。然し現段階では何かに当たって駒だけがずれたという想定が自然なので、魂柱位置まで神経質になる必要はないかも知れない。

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駒のメンテが終われば正しい音程まで巻き上げるが、ビヨビヨに緩めた弦を巻き上げる時は一気にやらないで途中でもう一度駒の立ち方を再チェックしよう。

下の画像にあるように駒ガイド二本の中央にF孔の切れ込みが来るように調節する。微妙に駒を動かすには手ではなくスリム金槌で軽く叩くのが最も適している。いずれにせよ弦は緩めておかなければ表面板を痛めてしまう。
コントラバス駒調整1

F孔切り込みの特定の場所を決めてそこから駒足までの距離をメモしておいて再現する。駒を替えた時は寸法を取り直そう。
コントラバス駒調整2

直角定規をここで使う問題点は表面板が球状であること。駒近くの直角部分を上から軽く押さえて使うと良い。駒からはわずか離して使った方が解りよい。
コントラバス駒調整3

余り音への影響はないのかも知れないが、ティンパニの皮の端を弦に触れさせたくないので、弦を溝に納める際は残る手で駒に撫でつけるようにして行う。
コントラバス駒調整4

2004/1/3

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上の画像のようにすると弦の滑りはよくなって駒が変形してしまう問題からは幾らか開放されるのだが、一方で「余り音への影響はないのかも知れないが」と書いたものの、音への悪影響も考慮に入れなければならないと思われる。その気になってこの画像を見ると隔靴掻痒と言うか、この薄い皮が音を曇らせているような気になる。ある時4弦全部に皮を付け、すぐに取り外して見た。その時のテーマは別の所にあったのだが後になって、全弦取り付けの際の音が何となく曇っていたような印象が残った。今更この問題をテストしようと言う気にはならないのだが、留意点として書き残しておく。
また、この皮挟み込みには別メリットがありそう。それは駒の弦溝を少し掘り過ぎてしまった時の簡易補修法になる事。現在はその目的で1本だけに使っている。皮はティンパニの皮でなく、豚の皮だというごく薄い半透明のものをハサミで切って使っている。

2011・9・10

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