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音楽そしてコントラバス・トップ>工房>コントラバス奏者の工作室>コントラバス木製エンドピン>このページ コントラバスエンドピン考 総論文中もっともらしげな物理を振りかざすが、専門ではなく真偽の程は定かでない事をあらかじめ告白しておく。また論理の赴くところ、いささか奇異に感じる部分もあるかも知れないが、このエンドピン考では現実性より思考を優先させた。その手法はきっと現実にも好結果をもたらすと信じている。 ある変更に対してその及ぼす効果の予想を立て、その予想と異なった結果が生じれば隠れた条件を見過ごしていなかったか、次はそれを探さなければならない。ところがそこで思考を終結させ全体を否定するのはいかにも勿体無い。万一望ましい結果が出なくとも以下に書いている方向で試み続けるつもりだ。が、私が試み判断するのは自分の楽器に対してだけであり、エンドピンに対する普遍的で公正な判断ではもともと無い。あくまでも”私の場合はこう考え、このようにした”でしかなく、そのままをお奨めするものではない。従ってこれは”私的なつぶやき文”である。
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■始めに 三段論法から入る。 ■オーディオでの経験 その結果の意外さは驚くほどで音の粒立ち、定位が実に良くなる。この改良はコストパーフォーマンスが大変良く、アンプの取替え何十万円どころではない向上が図れた。”何もそこまで考えなくともよいだろう” と片付けてしまわない男達がその世界に居るのだ。 ■ エンドピン周りの負う役割 ■先ずエンドピン差込口の構造から エンドピンを野球のバットに例えるならそのような持ち方で振り回すことは出来ず、ヒットを打つ為には10本の指全てを使って握る必要がある。ゴルフのクラブも結局のところ同じで、手とクラブを一体化させることで好結果が期待出来る。 現在のねじ止め式エンドピン出し入れ構造はさまざまな体格/奏法に、僅かな手間で対応出来るよう知恵者が考え出した良い方法ではあるが、考えてみるに特定のその楽器を演奏するのは他の誰でもない所有者の奏者当人であり、その構え方が試行錯誤の末に一定に決まってしまえば、その瞬間に楽器位置調節機能という主たる存在理由を失ってしまう。 エンドピンを出し入れする、その受け口である差込口のガタつきにはもう一箇所検討すべき箇所がある。楽器本体との接合部。通常はバシストが触る事のない部分。 この意見に対する反論は、弦の強い張力によってエンドピースが引っ張られ、そのエンドピースはワイヤを引っ張り、そのワイヤは差込口を強烈に引っ張っているので楽器本体とは十分な結合が出来ている、と言うものだろう。確かにテープの存在を除外すれば音響的にその意見は当を得ている。でも理屈を考える時、極端な図式を想定して適否を判断するのは良く使われる手であるが、それに倣って見よう。ピンを差込口を取り外して直接楽器に差し込んで使っても、もしエンドピースのワイヤーが滑らなければ弦の強い張力で振動モードは楽器と一体になれるだろう。しかし常にその状態を保てば楽器の穴は奥と入り口で変形を起こす。微細に見ると強く押し付けられた僅かの部分の木部の弾力性によって振動がその分だけ吸収されている、と考えられるかも知れない。 ■楽器の中に突き出たピン反対端の効果 ■ ピンの材質と形状 現在は材料に木が使われることは無いが、昔はどうだったのだろうか。楽器と同じ素材である木には自然に興味が湧く。一口に木といっても種類と特質はさまざま、一括りに判断は出来ない。ちょうど金属を一括りに出来ないのと同じ。 木に興味を持ってから気付くのだが、弦を緩めて緒留めワイヤーを外し、楽器本体から現行の”楽器支持システム”全体を取り出して手の平に乗せてみると、その重さに驚く。これはブレーキだ、というのが正直な感想。例えて言えばお尻に5Kgの分銅をぶら下げて100m走をするようなものかも知れない。 ■ エンドピン先の役割 二つの役目を同時に満足させる一番単純な(それ故に最高の)方法はピン先を尖らせて狭雑物なしにぐさりと床に突き立てること。この方法の良さは狭雑物の余分な振動がない為にピンの振動が一点で明確にしかも十分に床に伝わる事に尽きる。 ここで考えを遊ばせてみよう。 床への突き立てが叶わない時、次善の方法は直接床に突き立てなくとも、出来るだけそれに似せた状態を作り出すこと、と考えるのは自然の成り行きである。
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バイオリンとビオラは床に振動を直接伝える手段を持たない。触れているのはむしろ振動吸収体として働く人体である。もしくは直接触れさせない為の仕掛け(これしも制振効果を持つ)。ところがチェロとバスは床を味方に付ける事が出来る。床を音響上の援軍として十分尊重して迎えたいものだ。 以上総論である為にいささか抽象的な議論になっているが、次の各論で私が考えて実行した事柄のご紹介に入る。 2002/10/13
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上述の中で、「エンドピンをぐさりと床へ」は実際に音楽ホールを使って行った私の実験へ音楽友人達に立ち会って貰い、その評価を受けて少し違ったものになった。その2009年以来現在に至るまで私は床へ直接エンドピンを降ろさず「エンドピンプレート」と名づけた自作のピン受け台を介して接地させている。これが更に他の考え方に移ってしまう可能性は薄いのではないかと今漠然と思っている。 2011・9 |