音楽そしてコントラバス・トップ>工房>コントラバス奏者の工作室>コントラバスエンドピン止め各種>このページ エンドピンプレートの効果
エンドピンボックス以前のエンドピン止めのコンテンツは全てを一まとめに編集し直しましたが、この「エンドピンプレートの効果」だけはオリジナルのまま残します。
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これは五人の友人に宛てた葉書の文章。
ご案内状
年も改まりお元気にお忙しい毎日に戻られた事と思います。
さて、過日よりお願いしておりましたが、昨年9月半ば頃から製作に取り組んで12月に完成しましたコントラバスエンドピンの先に取り付ける部品が、ホールで響く音にどう関わるかを評価・判定する会へのご参加を快くご承諾頂き大変有難うございます。
従来チェロ・バスのエンドピンは直接ステージ床にぐさりと突き刺してステージ床を励振させ豊かな音量を得るというのが常識でした。ところが逆に楽器をステージから浮かせた方が良い音がする、との考え方でピアノを浮かせる装置を売り出し、その構造をバスに応用した方が出現しました。それを読んで強く興味を持ち、私はその方とは別の切り口で試作を続けておりましたが、このたび<楽器と共に振動する>という準楽器としてのコンセプトをも加えた部品が出来、それをピンプレートと命名しました。それは三種類の使い方が出来るものです。
本当にそれがステージで良い音を出すのだろうか、その評価は音楽ホールのステージに乗せた楽器と部品が客席に届ける音によってのみ可能だと思いますので私ひとりでは実験出来ず、音楽に堪能な皆様にご協力をお願いした次第です。どうぞ皆様のお耳に届いた通りのご判定をお願いします。 なお、今回の結果は私のHPと、この部品を作るに至ったいきさつから、巨大掲示板とも言えるmixiのコントラバスコミュでも発表することにしています。
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葉書の文面にあるテスト会場に選んだのは町からはかなり山間部に入った所の、350人弱収容と小さいけれどれっきとした音楽ホール。
最初に会場床下の様子をご紹介する。床とコンクリート地面の間隔は見たところおよそ80センチ弱程度、他でステージ床下を覗いた経験はないが特に凝った造りとも見えない。床の響きを調べる為に鋲打ちの革靴を履いて来たので、それでステージ上をコツコツ踏んで見たところ、どこも響きに大きな違いはないようだ。床束、床梁、根太には特別な配慮の跡は見られないので、それならば床材の厚みがあると言う事ではないだろうか.2ヶ月前に賛助した立派なステージでも革靴の鋲で床の響き検査をしたが、それよりはこちらの音が平均していて締まっている。但しそれが良いのかそうでないのかは知識不足で判断出来ない。楽器のセット位置は響きが中間的なところになるようにしたが、差がほとんどないので余り自信は持てなかった。
次はステージ上の様子。ホームステレオのCDをバックに演奏した。椅子上のスピーカーはとても小さい。
会場の雰囲気。平面的には円形に近い珍しいホール、客席側の壁は定在波防止の為に屏風のように出入りがある.350人程度収容と可愛らしいホールで、私がここで音を出すのは3回目。反響音は適度にふくよかで好きだ。
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約束した5人が約束の時間に集合したので簡単な趣旨再確認と評価法説明の後、早速テストに入った。なお、友人としての優しさの余り私の労苦を過大に評価して甘い評価を下さないようにと言わずもがなの発言までしてしまった。
判定者には評価項目を印刷したアンケート用紙を渡して会場にばらばらに座って貰ったが、場所を変えて歩き回ったり、時にはステージ上に上がってチェックした人も居た。 テストは、ある状態での演奏を先に聞いて貰い、その音の評価を5点と仮定した時に、次の状態にして聞く同じ演奏の音は何点になるかという設問で、同時にコメント欄も自由に満たして貰った。
演奏曲はモーツァルトのアイネクライネナハトムジークの第一楽章最初のリピートまで(活発なボ-イング)、第二楽章後半の回音装飾音が続いた後からコーダの最後まで(ゆったり弓の重さで弾くボーイング、コーダではフォルテがある)、カーペンターズのTop of the worldの最初のリピートまで(イントロでクラシック風な高い位置でのpizzを、それ以降をポップス的なアポヤンドで行った)。市販CD音源と合奏する方式。テストするアイテムを取り替える以外は楽器の位置も演奏曲も何一つ変えないように気をつけた。なお、当日室温13度、湿度54%。
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さていよいよ集計の結果を表にまとめてご紹介する。
比較1 楽器をステージ床から浮かせるとどのような音になるか
最初のテストはこの小文のメインテーマ。
最初の演奏は直接床へエンドピンを置く普通一般に行われている方法で行い、次の演奏では差を際立たせるためにピンプレートの下緩衝材の下に更に緩衝材を臨時に敷いた。その二つを下の画像で示す。
最初の画像は床へ直接エンドピンを刺しつつ、それが滑り出さない為のストッパー。実は前の日に立奏用エンドピンレストの底を抜いて輪っか状に作り替えたもの。下の表ではこれをAと呼ぶ。先の鋭い金属エンドピンを床へまっすぐ突き立てる場合と比べれば良きにせよ悪しきにせよ音質的に違いが出るだろうと想像はするが、私は金属ピンを使わないのでこうするしかない。
次のエンドピンプレートは音質傾向をより明確にする為に更に余分の緩衝材を敷き込み、緩衝材の合計厚さはフリーの状態では69ミリにのぼった。下の表ではこれをBとした。私の楽器は43度に寝るのでピン先に掛かる楽器重量は3割減の7kgほど。その重量では緩衝材はふわふわと雲に乗っているような感覚になる。
■感覚評価 評者の文章は要約したけれどもほヾ原文に近い。全員のコメントを列記したので矛盾するものがあるかも知れない。
Aの評価
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弓奏で湿っぽい音 pizzはブーンというバス特有の低音で響いていた(ので良い) 音が雑に聞こえる 音量は大きくてはっきりしている 音の傾向はクリア
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Bの評価
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高音が強い Aに比べて違いがはっきり解るのだが軽い乾いた音で楽器の中ですごく響いている 軽い音が広がってゆく感じ ピチカートは良くない 音が締まり粒立ちが良いがpizzでは痩せ音量も落ちて聴こえる 音が柔らかい 音が大きくて聴こえやすい pizzでは解りやすくてノリが良い 高音がはっきり聞こえる アルコでは評価6だがpizzでは評価3 音量はAより少なくボケておとなしい 音の傾向はソフトでバランスが溶け合って良い
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■数値評価 Aの音を5点と評価した時に、Bの音は何点か?
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評者1
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評者2
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評者3
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評者4
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評者5
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平均点
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Bの場合
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7
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7.5
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6
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6
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5
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6.3
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1名がpizzの場合にはと断って3点をつけた。
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比較2 ピンプレートの使い方三種類ではどれが良い音か
次はエンドピンプレートの使い方三種類それぞれで音はどのように響くかのテスト。この三つの画像の構造詳細は前の小文<エンドピンプレートの構造>を参照されたい。
下緩衝材(素材は柔らかさの異なるポリウレタンとスポンジゴムおよび分厚いフェルトと、布地のキルティングに使う柔らかい芯材2層で出来ており合計5層)を敷きこんだフル装備のエンドピンプレート。但し比較1で追加していた余分の緩衝材は外している。 下の表ではこれを1と呼ぶ。
下プレートと上プレートの組み合わせ。上緩衝材(ゴム製の分厚いマウスパッド材2層、家具敷きこみ用の堅目フェルト3層、こちらの緩衝材は小面積なので反発は強め)が下プレートを貫通して付いている。 下の表ではこれを2と呼ぶ。
上プレートのみ。直径1センチの短い木の棒4本で支えられていて緩衝材は使っていない。 下の表ではこれを3と呼ぶ。
■感覚評価
1と比較した2の評価
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差は微妙だが太く重い音になった。よく判らないが(三つの中で)2が良い 響きや音量が欲しい時は1、低音の重さが欲しい時は2だが好みは2 程よい音の締まり 音量 遠達感あり 渋く濁って聴こえる アルコ短音は変わらない pizz低音は前に出て来ないが高音域は変わらない 音量・音質・音程の明確さ共に良い
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1と比較した3の評価
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高音が強くなる感じ 音が少しぼける 音が重く感じるためか音程に不安あり 2、3の変化はほとんど解らない。ピチカートで音が前に出て来ない(高音は変わらない)立奏をリクエストしたが立奏では音がはっきり出ている 音量・音質・音程の明確さ共にわずかに良い
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■数値評価 1の音を5点と評価した時に、2の音、3の音は何点か?
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評者1
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評者2
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評者3
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評者4
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評者5
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平均点
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2の音
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8
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6
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4.5
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6
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5
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5.0
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3の音
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4
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4
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4.5
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5.2
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5
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4.5
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結論
比較1と比較2を重ね合わせて見る。
復習の為に各画像を並べて番号を確認しておく。
Bと1は下緩衝材の厚みが違うが、以下ではこの緩衝材の効果を同じと仮定して見る。
■数値同士の比較
5人が比較1と比較2で各アイテムに下したそれぞれの評価について平均値を列挙する。
ピンプレートの番号
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A
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B=(1)
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2
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3
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比較1での平均値
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5.0
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6.9(注)
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-
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比較2での平均値
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-
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5.0
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5.0
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4.5
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注=弓奏とpizzの平均値
上表は基準が異なる別々の計測値だが、これをA(ピン直接置き)との直接比較値として計算し直すと次のような相対数値になる。
ピンプレートの番号
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A
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B(=1)
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2
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3
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Aを5点とした時の数値
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5.0
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6.9
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7.1
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5.4
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このようにするとおのずとステージ上で音の良し悪しの序列が決まる。即ち下の概念図と画像の順番のような並び方が導かれる。なお、もし弓奏とpizzとに分けて評価を問うたとすれば全体の評点が変わったはずだ。この予想がつかなかったのは不備と言う他ない。今となっては想像するしかないが弓奏に限ると順位変更はないものの1位から3位までの評価はもっと高くなり、pizzに限ると4位の<ぐさりと一突き>は逆に上位に来ただろう。
第一位 相対数値 7.1
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第二位 相対数値 6.9
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第三位 相対数値 5.4
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第四位 相対数値 5.0
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番外比較 エンドピンの樹種はどれが良いか
最後に、これもいつかはやって見たかったのだが、自分で設計して使っている木製エンドピンの音を評価して貰った。もし金属エンドピンシステムとの比較もやろうと思うならば、弦を全部緩めて駒も倒してソケットから差し替えなければならず準備作業に時間を食うので残念ながら試行しなかったが、過去に自宅で行った簡単な評価は通常の金属エンドピンとでは明らかな差がついていた。
比較はマホガニ(ここではXと呼ぶ)、古い魂柱材(ここではYと呼ぶ)、及び桐(ここではZと呼ぶ)の三種類。桐材を洋楽器に使うのは聞いた事がないけれども和琴の素材は桐だ。楽器素材として桐に白羽の矢を立てた昔の日本人の感性に無視出来ない重みを感じて試みて見ようとしたのが切っ掛けだった。
下の画像は上からマホガニにハードメイプルの石突きをつけたもの、古いバス魂柱材に黒檀の石突き、桐材に黒檀の石突き。 製作年次は魂柱が一番古くそれまでに作っていたものの改良型で2006年頃に作った、次に桐材で2008年10月、最後がマホガニで2008年12月。アイデアを少しずつ加えて行っているので同じ設計のものはない。
■感覚評価
Xへの意見
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音量・音質・音程の明確さともにベスト 言葉に出来ないがこちらが良い 適度な音の締まり、楽器の自然な鳴りを感じる
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Yへの意見
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音の立ち上がりが弱い 高音域は良いが低域はモコモコ感がある
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Zへの意見
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音質音程はボケる 音の粒立ちは良いが固い音 音量はある 弦の振動がきめ細かく感じる 音が大きく感じる 音質は好きだ
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■数値評価 Xの音を5点と評価した時に、Yの音、Zの音は何点か?
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評者1
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評者2
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評者3
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評者4
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評者5
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平均点
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Xに比べたYの音
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3
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5
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5
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4
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5
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4.4
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Xに比べたZの音
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5
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5
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6
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4.8
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5
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5.2
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結論的にエンドピンの材質による序列はこのようになる。
桐材>マホガニ材>魂柱材
ただし木材には一つひとつ個性があり、必ずしも桐材一般、マホガニ材一般の事を指して言うのではなく、また音質の好みが加わるのでこの序列は絶対的なものではないので、私にとっては大事だがご参考までに。
実験を終えて
昼過ぎから会場設営をしてテストは3時から始まり撤収が終わったのは5時を回っていた。設営後テスト開始には少々時間があったので会場を独り占めして1時間程度演奏をしたが、自宅練習と違って音響コントロールされた広い空間での一人演奏は次元が違う心地良いものだった。
閑話休題、友人達のアンケートを集計してみて比較1のテストでは集計数字がためらいなく一つの方向を示しているのはちょっとした驚きだった。(注) 私も演奏しながら楽器を浮かせた方が圧倒的だとは思わないまでも良いと感じ、座奏する私の体にくるまれた楽器は床からフリーなのでよく振動していると思ったが、これほどまで数字に差がつくとは思わなかった.7点や7.5点という評価は<音ははっきり違いますよ、今後も浮かせて演奏しなさい>との意味に受け取れる。
注; 評価数字は平均点も重要だが、各評者ごとの配点やイベント一つの中で評点にどのようなばらつきがあるか、どのようなまとまりがあるかなども、響きの傾向を知る為の重要な手掛かりではないかと思う。
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また比較2のテスト結果はどうだろう。事前に想像したような床から出来るだけ浮かせるのがベストではなくて、言ってみれば床と付かず離れずの関係が適切だと語っている。楽器は出来るだけ自由に振動したい一方でそのエネルギーを少し床に提供して協力を得たいのだろうか。どう言う物理説明が適当なのだろう。少しばかりの緩衝材に支えられてわずかに浮いている上プレートは設計意図の通り楽器の一部として補助的な役割を果たしている事を評価数値は示している。けれども緩衝材を全く介在させずに上プレートだけを床にべた置きするなら準楽器として振舞う事が出来ず従ってエンドピンも動きを拘束されて評価が下がるのだろうか。
驚くのはそんな評価の低いじか置き上プレートでもぐさり一刺しの従来型よりも高く評価された事だ。想像するに楽器にとって床の質量は 負担になっているのだろうか。他のものに例えるならば鳴っているスピーカーのコーン紙を指の先で押さえているような関係が成り立っているのだろうか。
これらの評価に私は全く加わっていないから、私の我田引水ではない。私は信頼する5人の音楽経験者(それぞれ若い頃から音楽と演奏に親しみ高い能力を持っている友人)の耳を信用して、どのようなお答えが出るにせよその結論に従うと最初から決めていた。その為に必要なら3ヶ月掛かって作ったピンプレートも捨てるつもりであった。私の最終的なテーマは<自信が持てる良い音>だから。
常々一般常識というものは尊重しなければならないけれども盲従すべきものではないという考えを持っているのだが、このたびもそう思う。
とはいいながら、一回の実験だけで<ぐさりと一刺しはどんな時にもステージの大きい質量がエンドピンの自由な振る舞いを押しとどめ、ひいては楽器振動を抑制してしまうので良くない>と言う一般論に広げるのは大胆過ぎるだろう。どなたか追試にチャレンジして検証されないだろうか。
私に関して言えば、これからはマホガニと桐のエンドピン二本を帯同する。木製エンドピンを導入した2003年当初は魂柱材が一番良かったのだが、それを凌いでこれらが良いのだから自信を持って使う。ピンプレートは一番下の緩衝材を取り外して上プレートと下プレートの2枚を使う事になる。そしてピチカート奏法が主体のポップスステージなら上プレートだけを使おう。もしコンクリート床で演奏する羽目になれば下緩衝材が必要になるだろうから、今回の反省に基づいて下緩衝材は1センチ余りの厚みにとどめたものに既に改造した。
緩衝材は、実は今回の試行錯誤を通じて大きいみかん箱一杯になるほど色々なものを購入した。目の前にある残されたたくさんの切り刻まれた緩衝材を見詰めれば無駄をした、のかも知れないが、個人的には自信が持てる結論に至る事が出来たと言う意味で無駄は何もない。
この小文を読んで興味を持ち追試して見ようと思われる方、木材購入は不愉快な思いをしない為にくれぐれも楽器用木材専門商社からの仕入れをお勧めしておく。上でも述べたがこれはもうエンドピンレストではなくて振動する<楽器の一部>として考えて欲しい。ネットで探せば見つかると思うが、サイト全体を見て家具用など普通の木材を主力にしているならそこから買うのは避けた方が良い。
更に木材購入の仕方についてもう一言。木は一本の木から取ってもその場所によって音色が違うのでマホガニならどれも一緒という訳には行かない。ベストは選び出した同じ樹種でも違う木材からいくつか取り、同じ寸法にして貰って(これが大事)届けて貰う。それを叩くなり硬い床に落とすなりして音色を聴いて選び出すという厄介さを覚悟しなければならない。私が準楽器に選んだマホガニ板は同時に4枚仕入れて一番打音に優れていたものを使った。
追試の結果、良いアイデアが見つかれば是非私にも教えて頂きたい、私もチャンスを見て再追試したいと思う。
2009・2・3
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