音楽そしてコントラバス    管理人室    音楽ホール    バシスト控室    工房    ギャラリー    遮音室    娯楽室    ロビー
音楽そしてコントラバス・トップ>工房>コントラバス奏者の工作室>コントラバスエンドピン止め各種>このページ

第3号エンドピンボックス(改良前)

"楽器音の向上に積極的な寄与をするエンドピンレスト"と言うコンセプトのもとにエンドピンプレートと名付けたものを作って以来4年間、アイデアを少しずつ加えながらどうやら6作目まで来た。耳の良いバス奏者はコンサートに当たって舞台のどの位置にエンドピンを刺せばよく響くかを試すと聞いたことがあるが、ソリスト以外は楽器の位置を自由に選ぶのは困難なこと。床の音響特性の善し悪しに余り影響される事なく良い楽器音を得ようとする私の試みはそんな事情に対する一つの解決案になるのかも知れない。

今回のバージョンである"第3号エンドピンボックス"の製作に当たって頭の中に思い描いていたのは弦楽器の構造、それをお手本にしながら作った。

これを使って音を出してみると、楽器の個性とは少し違う音が混じって聞こえる気がした。なるほどそれは当然と言えるだろう、極論すれば大小の楽器2台で音を出しているのだから。
とは言え密かに期待した程に大きな効果はなかったものの、それでもこれまでのどのエンドピンレストよりも良いようだ。

合奏団に持って行って合奏に使っていたらチェリストが興味を持ち、その人はこれを使って自分のチェロで音を出してリーダーに意見を求めたところ「はい、大きく聞こえますね」との反応だった。

又、毎年賛助を続けている団体へは定演以来10ヶ月目になるが久し振りに練習会場のバス定位置に座って合奏に混じってみると、これまでとは違ってゆったりと大きい音になったと言う自覚が持てた。

更に自宅練習でこれまでに作ったもののうち第3号エンドピンプレートと第2号エンドピンボックスも使い、3個を弾き比べて家内に聞かせたが、音の大きさとそのバランスから見てやはり今回の第3号エンドピンボックスに軍配が上がった。

今のところ、このアイテムを上回るような良い知恵が沸いて来ないので当分はこれを使い続ける事になると思う。

*

先ず完成した姿。21.5cm×16.5cm×3.3cm(エンドピン止めの高さを除く)。表面板・底板の材料厚み4mm。側面板の材料厚みと高さは6ミリ、21ミリ。

大部分の材質がこれまでと同じマホガニ。両サイドにある細長い溝にはF孔と同じ意味合いを持たせている。F孔の物理的意味は駒周りの表面板中心部分を側面版の制約から切り離して振動しやすくする事にあると思うのだが・・・。エンドピンを受け止める土手には18ミリの座ぐり錐でコインの厚さに座ぐってそこに18ミリ径のコインを落とし込んだ。もし私のエンドピンが金属製だったらコインでは受け止めず、ここに黒檀などの硬い木材を使ったと思う。
image

その細長い切れ目の作り方は、先ず両端にドリルで穴をあけ、真っ直ぐな棒を差し渡し仮固定してガイドに使い、それに沿ってノコギリを使う。ノコギリを真っ直ぐ使えない私にはガイドは大きな武器。
image

そんな風に板の中ほどに切れ目を入れる便利な道具がこれ。先端が丸みを帯びていて「窓あけ」と呼ばれているノコギリ。
image

使い古しの駒を使ってエンドピンの止めを製作。材質は柔らかくなければどんな樹種でも良いとは思うが手元にあった駒板なら十分の筈だ。先ず駒センターに赤い点を打ち、そこにドリルで穴をあけた。刃の径は18ミリとした。ドリルを使う時は下に古いベニア板などを密着させてやるとすっきりときれいな穴があく。
image

次に先程と同じように棒をガイドにしてノコギリで駒を切り離す。作業しやすいように鉛筆で作業線を引いている。失敗する訳には行かないので慎重に。
image

真ん中に黄色っぽく見えるV字型(画像処理で解り易く色づけ)のように切り離す予定。
image

夜になったが、V字をはじめ部品類を裏表に貼り付け。
image

下の画像は組み上げて完成させる直前の状態。表面板の裏には補強棒を接着した。バスバーと言いたい所だが遠慮した。僅かに斜めに取り付けた理由は10kgの楽器重量がエンドピン先と言うたった一点で厚さ4ミリの表面板に接するが、不注意にドンと落とした時に補強棒に接している表面板の木目の数だけ割れにくいのではないだろうかと考えたから。中心部に見える三角形の板はエンドピンを受け止める位置の真裏に接着した補強板。
右側の底板に立っているのは表面板と連結・接着させる支柱。これを魂柱だとは恐れ多くて言えない。

底板から立ち上がっている側面板のうち画面下部の一枚が1センチ内側に接着されているのは、止め紐を取り付ける小さいヒートンの頭を保護する為。一枚下の吊り下げ画像で様子が解るだろうか。
この左右二つの板は本を閉じるようにパタンと接着すれば完成。
image

運搬時にはバス椅子(ピアノ用トムソン椅子を改造)にマジックテープを接着してこのように貼り付ける。これなら簡単なのでステージ係に迷惑が掛からない。
image

ピンボックスの裏側。音響効果を試した実験結果から四隅の足(緩衝材)は分厚くないものを使っている。黒い方はマジックテープを少し厚めのフェルトの上に接着したもの。運搬時はこちらの足二つを使って椅子にジャリッと貼り付ける。底板も振動体としての役目があるので緩衝材は極力底板の振動を制約しない三角形にした。


image

2012・9・8

画像が「×」になって読込めない時はツールバーの<表示>→<最新の情報に更新>をクリック又は「再読込み」して下さい

home / up
   / 

home / up
   / 

image inserted by FC2 system