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音楽そしてコントラバス・トップ>工房>演奏者の為の工作室>このページ 休みがなくて長い楽譜私は全ての楽譜をFinaleと言う楽譜ソフトに打ち込んでプリントアウトして使う。練習取り掛かりにはそれで暇が掛かるが、一方で自分で打ち込めば私自身が視認しやすく演奏にまごつかない改段・改ページの仕方や音符同士の間隔や五線とか玉の大きさなどを細かく設定出来る美点がある。 今年受け取った曲の一つはほとんど切れ目なく演奏される4ページ357小節のものだったが、譜面台上の楽譜に手を触れずに読み通せるやり方を考えてFinaleで実行してみた。 この背景となる私のステージでの状況を説明すると、大きなバスを構えて背もたれ椅子にどっかりと座るので楽器を構えたままの姿では譜面台のページを素早くはめくりにくいと言う特殊事情があり、またこのような構え方で立奏バシストとプルトを組むのはほヾ不可能なので譜めくりが自分自身で楽に出来る譜面を毎回つくらなければならないと言う立場に置かれている。 さて問題の曲はシュトラウスのワルツだが、4ページ全体を見てもゆとりを持って楽譜をめくれる切れ目がどこにもない。 たまたま他で賛助している団体からも今年はチャイコのワルツが回って来た。5ページ341小節に切れ目がないのは同じだが、申し訳けにVoltiSubito(素早くめくれ)と書いてあった。出来ませんて。 めくれないならめくらずに済む譜面を作らなければならない。楽譜の改善ポイントはFinaleが楽譜の体裁を細かく調節出来るソフトであるのを幸い、音符や五線紙の大きさを変えないまま1ページの幅を縮めて3枚折りにした事。3枚プリントアウトした後で紙面の横幅をカットしてつなぎ合わせる。画像で下になっているのは普通サイズの2ページ楽譜。 下の画像は、通常の楽譜に3枚折り楽譜を混ぜた製本方法。これまでもステージ用の曲はプログラム順に製本して来たのだが左3枚が今回の3枚折り楽譜。中に折り畳む3枚目は他の2枚よりも更にわずかに狭くカットしなければ折り込めない。 なお製本した後での気付きだが、この3枚折り楽譜を上の画像のように製本の最後のページにせずに下の概念図のように中ほどにしてやるか別に裏表紙を付けてやると譜面台の上で3枚折り楽譜を広げた時に下になるページに支えられてもっと安定した状態になると思う。 この”休みがなくて長い楽譜”をUPして後の2012年に、台紙製本を始めたがそのご紹介ページの終わりの部分で3枚楽譜を読みやすくする仕掛けを裏表紙に施した。こちらもご覧頂きたい。
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蛇足だが、楽譜の幅を単純にせばめて書くと中の音符は満員電車状態になり、今回の意図とは裏腹に視認が困難になりやすいので無理がない程度に段数を増やしたり或いは小節幅を狭く出来る省略記法を使って各段ごとに小節数を調節している。この例でシュトラウスの最後の方は同じフレーズが繰り返されるのでフレーズごとにまとめてter(3度繰り返し)やquater(4度繰り返し、たしかquarterではなかったと思う)なども使って小節数を大きく節約した。但しこの処理によって小節番号が変わってしまわないように番号を編集してやらねば合奏練習の際に話が合わなくなる。 以上のような譜面編集をしても3ページに収まらない連続的演奏譜面もきっとあるに違いない。ゆとりをもった譜めくりが出来るほどのお休みがない長大な楽譜をどう料理するか、そのような楽譜にはまだ出会っていないが、出会えばその時に考えよう。 そんな長大な楽譜にもその後出合った。解決策は同じような3枚楽譜をページをめくった次にも貼り付けたり、3枚楽譜でなく普通の楽譜を前や後に連続させたりした。但し僅かでも手を楽器から離せる休みがなければ問題解決の手立てはなくなってしまう。
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2011・6・23 |