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小銭入れのデザインと製作

製作を思い立ったきっかけ
2001年春のこと、それまで色々とお世話になった人達に何かユニークなプレゼントをしようと思い、小銭入れを思いついた。それも普通の小銭入れでは面白くないので私自身がデザインしたものを特注で作らせ、プレゼントする相手の人達のイニシャルを彫り込む事にした。

私は建築設計において機能とデザインの自然な結合を心掛けているが、小銭入れもそのような姿勢でデザインしてみたいと考えた。何せ、皮製品を作る工程や技術には全く不案内なので作り方まで図面に描きこむことは出来ないが、図面をひけば後は職人さんに考えて貰えばうまく行くはずだと、そこは軽く考えた。

使い方の想定
最初にしたのは、小銭入れの使い方を想定すること。便利な小銭入れとはどのような形のものだろうか、どのような構造なら小銭を出し入れしやすいだろうかという検討。色々考えて、小銭入れを指3本の上に乗せ、フラップ(ふた)を手前に向けて開いて親指付け根の筋肉などを土手にすれば小銭の枚数を数えやすく、数える小銭が落ちにくいと言う結論に至った。つまるところ一般的にもよく見掛ける形だが、問題は使いやすさなのでその目的の範囲内において形の良さを追求したけれども、形状のユニークさにはこだわらなかった。(画像後出)

形と寸法の検討
そのような使い方が自然に出来るという形はどのようなものでどのような寸法か、が次の課題。手の大きさや形は私自身の手を基準にせざるを得ず、私の手のひらのくぼみに馴染んで収まり、使いやすい形と寸法の追求をしてみた。おおげさに言えば私の手の寸法から出発した人間工学的検討だ。

そんな次第で、最初に決めたのは手のひらにきれいに収まるフラップの形と寸法。

次にそのフラップに似合うボディは。。。と考えを進めた。大きくは理詰めで、細かくは私の感覚で作業を進め、一応の図面を描いたところで、通常の外出の際に溜まるかも知れない数の小銭が納まるか(おおむね20枚あたりと想定)、ポケットの中でかさ張らず手触りがゴツゴツしないかなどを、頭の中でその小銭入れをさまざまに動かして考えた。一番難しかったのが小銭出し入れ口の幅(下図の寸法で60ミリのところ)。この寸法を狭くするとフラップを閉めた時の見栄えが良いのだけれども使う時に小銭が出てこない、広くするとその逆になる。こうして出来上がった図面を職人さんにお渡しして小銭入れの完成を待った。

図面
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部品図面のうち、つなぎの皮とは外皮と内皮をつなぐジャバラだが、職人さんはこのようなものでなく、一枚の薄い皮を小銭入れの外周に沿わせながらジャバラの折り目をつけるという見栄えのよい処理をしてくれた。


画像
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私は牛革が好きだったので牛革で作るように依頼したが、職人さんの手元にたまたまオストリッチがあり、強く勧められたのでそのように変更。オストリッチにはイニシャルがスタンプ出来ないということで、残念ながらお世話になった人達のイニシャルがないまま差し上げた。

また、出来上がったこの小銭入れはとても丁寧な仕事がしてあるが、どうやら職人さんが自分の裁量でゆとりを見込んだらしく、縦寸法も横寸法もわずかずつ大きいものが出来上がってしまったので、手のひらの上で若干持て余し気味。

なお、この製作に先立って牛革で作らせた試作品は作りが若干荒いけれども寸法通りだったので裏からあてがった3本の指に安定して乗るので使い良い。それが下の画像。試作品は一つしか作らなかったのでこれが私の手元に残り、手入れしながら使い続けている。

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2006/11/28

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