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親愛なる作/編曲者殿 その1

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コンバス弾きの立場からお願いしたい事がある.マンドリン合奏団のために作曲/編曲をする人が結構多い.かく言う私も下手ながら学生時代にも,卒業してからも少し手掛けた.作/編曲をする人はギター経験者が多いようだが最近は楽譜ソフトを使って音の重なりをシミュレート出来るので作りやすくなった.

さて,お願いとはメロディパートを作ったらギター伴奏を考える前に或いはせめてギターと並行してコンバス譜を作って欲しい事.

実は私自身が 嘗てギタリストであって 曲を考えるときギターの響きが頭から離れる事がなくメロディーパートとギターがどうしても先に出来てしまう.現在はバシストであり,バスの良さが解って来ると何故この楽器の能力をもっと音楽全体の為に活用しなかったのか,と悔やまれるのである.以下の文章は私の懺悔録として読んで頂きたい.

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バスはギタリストの大きな親指ではない. ギターは運指上の制約があって,なめらかなベースライン/面白いベースランニングを作りにくいし,ギターを先に作るとギター上の根音にとらわれてしまい勝ち.

ギタリストの親指の音をピチカートでなぞるのは,ポピュラー曲の中でも力強いリズムを強調したい場合は良いが,それでも和声の上では変化の少ないものになりやすい.リズムも同じく単調になる. バスから先に作ると合奏の中におけるギターの役割が少し変わるかもしれない.

マンドリン合奏においてギターはリズム楽器であり,また上声部以外の全ての声部を担当する楽器として扱われている.中でも根音を担当する能力に長けているが,その根音を独自の動きをするバスに預け,身軽になって 内声部を充実させる役割に回る事は,全体から見ると悪い方向には行かないはずだ.是非バスを強く意識してほしい.

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バスの特質を幾つか挙げてみると,バスのおいしい音は,低音譜で上第一線のC辺りから上G位まで.時々はそのあたりまで登ってみると目先の変った面白い表現になる.それもただ和音中の適当な音をぽつんと置くのではなく,その音へ至る階段をあらかじめ準備してやるか,いきなり高い音に飛付いた時は降りる道を用意してやると,指使いの無理もなく和声的にも経過音等面白く工夫しやすい.

高い音でしばらく遊んだ挙げ句 低い音に戻ると,それだけで普段耳にしている当たり前の高さの音が,合奏の中で意味深く感じられる.逆にあまりおいしくない音がある.E絃が他の弦と同じようによく響く楽器は少ない.必然性がない時には 4弦をあえて使わないほうがいい.しかしだからといって 4絃を自動的にオクターブ上げて弾かせるのもどんなものか.

音には流れがなければならない. 同じキーだからと言ってその音だけ単純にオクターブ上へ持って行くのは不自然,もしそうするのならその前後の音もそれに合わせて考え直さなければならない.
けれども音楽の流れの中でE弦を使う必然があれば,どうぞそのように楽譜に書きこんで頂きたい.それを喜んで響かせてみよう.

マンドリン合奏の中に必ずあって,唯一断続音でないのがバスのアルコである.表現の幅を拡げて面白くする為にもこれを使わない手はない.曲の終わりの長い音に使うだけでなく,色々試して見たいものだ.

2000/10/22


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