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音楽そしてコントラバス・トップ>工房>コントラバス奏者の工作室>このページ 耐震コントラバススタンドこれまで使っていたバススタンドは<木製コントラバススタンド>だが、これは阪神大震災のはるか以前に作ったもので耐震性能は全く考慮していなかった。その大震災からこっちは何か手を打たなければ、とあれこれ頭の中で図面を描いては消しを繰り返していた。 やっとおおまかなアイデアが固まったのが昨年の前半。昔オーディオのLPプレーヤーを載せる台として使っていた金属フレームが不要になった後に自作加湿器の保護枠とか物置き台などに使って来たがそれを眺めていてふと耐震スタンドの一部品として改造するのを思いついた。それを6月にここでアイデアだけご紹介したのだが製作はそれから更に8ヶ月後になってしまった。 それが90%出来上がったところで東北関東大震災が発生、マグニチュード9.9と公称される痛ましい出来事に背中を押される形で完成させて小文を書いた。 右は計画段階で描いた仕上がり予想画像。 このバススタンドの楽器収納方向は普通とは逆だが、店においてあるスタンドの主目的は商品を十分に見せる事。ところが自宅で使うなら収納し易く取り出して直ぐ使えるのが重要。そうならこちらがベストと思う。 さて、耐震性に正面から取り組んだコントラバススタンドが世にあるかどうかは知らないのだが、 こんな耐震コントラバススタンドにどの程度の耐震性能があるかは実験のやりようがないので判らない。<ないよりはマシ>程度でしかないかも知れないし、結構役に立つのかも知れない。 これを参考にして皆さんはもっと優れたものを工夫されたい。 耐震バススタンドに求められる構造上の特質は
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以下は作った耐震バススタンドの詳細。ただし我が家では6)の周囲から倒れ掛かるものへの工夫は施していない。周囲に極力倒れ込むものを置かなればその目的は達せられる。 最初の画像はベニア台座。厚みは4ミリだが、この広さで使うならどうやら6ミリ厚が良かったようだ。金属フレームを安定させる為の桟木は10ミリ角。裏側からビス数本で固定している。画像で見て台座の右側半分の寸法は幅66センチで奥行き45センチプラスアルファだが、これはオーデイォラックとして使っていたフレームの寸法そのまま。左半分の木製スタンドを乗せる部分の寸法は横幅43センチ、奥行き33センチ。 ベニア台座の裏側。止めたビスが部屋床を傷めないように荷造テープで頭を隠している。 木製コントラバススタンドを裏からビス止めしたところ。その右に置いた丸い穴が二つあいているものは天板。昔オーディオラックに使っていた名残りで配線用の丸穴があいている。 金属フレームをベニア台座に固定するのに使ったのは荷造テープ。 上の画像の荷造テープでは如何にも頼りないと反省して、グレーの荷造テープでフレーム基部三方全部をべったりベニア裏側まで回して貼り付けた。金属フレームと同じ色なのでよく見ないと荷造テープを使ったとは判らない。感覚的な感想だがこれなら地震でフレームが踊っても外れることはないような気がする。 耐震バススタンドの全容。奥に見える積み上げ式の引き出しはよく使うのでその際に腕木をうっかり見落として怪我しないように黄色に塗った。 横から見た画像。フレーム内部の空間には小さい棚を入れる予定。 ベルトは昔買ったノートパソコンのキャリングケースに付属していたもの。脱着時に楽器を痛めないようにベルト先端には金属を使わずゴムひもを取り付けた。腕木に取り付けた丸い金属は額縁などを壁に掛ける為の化粧ビス。腕木内側には楽器が触れて傷つかないようスポンジを接着している。 左側ベルト根元は楽器に触れる恐れがないので金属を使っている。 弦がフレームに直接触れないように中空の柔らかいゴムベルトをフレームに貼り付けている。なお、ベニアの天板にあいている二つの丸穴は、20年くらい前にこの金属フレームをオーディオセットに使い、LPプレーヤーを乗せていたがその配線を通していた痕跡。この天板も古いものだ。
旧来の木製バススタンドには今回の再使用に当たって3箇所の改造をした。一つはこのスタンドの製作時よりエンドピンがうんと短くなったのでそれに合わせて背丈を縮めたこと。以前使っていた内部の重し(コンクリートブロック)は取り外したこと。そして最後は地震で楽器が踊っても外れないようにパンチカーペットを短冊状に切って重ねた外れ止めを加えたこと。これは一枚重ねるごとに両面テープを貼ると同時に、4枚ごとに長いビスを揉み込んで木部に固定した。
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このようなフレーム構造の耐震バススタンドにするならこの画像のようにフレームの外側に接してではなく、その内側に楽器を納める別解があると気づいた。フレームの天地を逆にすればそれが可能になる。その方法の良いところはフレームの三方にベニアで壁を取り付ける事が出来て楽器を傷めない防御策を取りやすい事。逆に欠点は高さに比べて底面積が少ないので地震に耐える能力はかなり減ると思われる。この対策としてはベニア台座の寸法は今回の大きさそのままにしておくと良いかも知れない。他には腕木とベルトを使った楽器上部の固定方法を根本から見直す必要があるだろう。 2011・3・27 |