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第4号バス椅子による演奏姿勢

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■ 構え方の変遷その1

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第4号バス椅子の構造や製作過程は”工房”で詳しく述べているが,ここではなぜこのようなバス椅子を使うに至ったか,どのように使っているかをご紹介しよう.

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楽器を支える身体部位は三箇所4点.一番主になって支えるのは両膝,感覚としては8割担っている.次がみぞおちと乳首の中間で,みぞおち寄りのちょっと下,同じく感覚としては2割支えている.最後が首から首の付け根あたり,これは重力的に支えているのではなく昆虫の触角のように楽器に触れて体との関係を正しく保っているかどうかを判断する場所.楽器はエンドピン先を動作中心点として動くから,そこから遠い場所の方が微妙な判断をつけやすいのは自明だ.

楽器のセッティングとバス椅子の寸法決めは上記のような各身体部位への触れ方が快適に出来るように調節することにある,と思う.座面の高さも,下ろす足の位置も,背筋の伸ばし方も,エンドピンを突き刺す位置も,エンドピンの長さも,全てはそこから演繹される.(今回は例外的にエンドピン長を与件の一つとしてしまった)

その上,ゆったり伸ばした右手の弓が駒上8センチから10センチあたりを自然に通るなら,そして体のどの部分も窮屈さを感じなかったら良い,と考えている.楽器の大きさ,身体の個体差などで実際の構え方や意識の持って行き方は微妙に異なるはずだ.

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さて画像を三枚ご用意する.
あくまでも私の楽器を私の体が使う事を前提にしている.私の楽器はボディ上部(ネック下端位置)の厚さがかなりあるので胸に当たって痛い.従って以前所有していた楽器よりはバスをずり下げて弾いている.

最初にご紹介する図面では椅子と私の両足とエンドピンの平面的な位置関係を見ることが出来る.なお,エンドピンまでの距離は椅子の脚からではなく,座面前縁から測っている.
両足の位置は大変気に入っている.椅子の前脚内側に,くるぶしのわずか前方をぴったりあてがう事によって膝の位置がふらふらしない.この固定感は,座面両脇木部の盛り上がり部分及び座面より前に6.5センチも突き出ている脚が,足全体の外側を支えてくれる事にも起因している.これは内転筋(ふともも内側の筋肉)を緊張させることなく膝で楽器を支える事を可能にするので疲れない.
古い構えによるコントラバスエンドピン位置

次の画像は両膝が楽器裏板に当たる位置.
古い構えによるコントラバス裏板に接する膝頭位置

最後の図面はこの椅子を使った演奏姿勢概念図. 概念図とはいえ楽器や椅子や体の寸法はおおむね正確に作図した.
古い構えによるコントラバス座奏姿勢

この三枚の絵から第4号バス椅子を使った演奏姿勢を思い描いて頂けた事と思う.弱音で演奏する時は本当に弓の重さだけで弾ける事が図からも伝わって来るだろう.

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椅子と体と楽器の三つは平行を心掛けているが,鏡で見ると肩の線は思った以上に左を向いている.意識して(意識だけは)平行を心掛けることで楽器の芯と体の芯を合わせる実感が持てる.困難な演奏をする時は指板が首から離れてゆく,つまり体が右傾してしまう.首と指板の関係は心のゆとりのリトマス試験紙となっている.また,ローポジションでは体がかなりねじれてしまうのでもっぱらローポジションを避けるフィンガリングをする.E弦Gis以下でなければ滅多なことではローポジションを使わない.

この椅子を使った構えでは,私が弾く弓の道は駒上10センチプラスマイナス2センチになる.例えばロングトーンなどでは駒上6〜7センチを弾く事も出来るが,気をつけていないと直ぐに上がって来る.G弦あたりで難しいフレーズを弾くと14センチくらいに離れてしまう.今後もっと弓の道を下げる事をテーマにすれば椅子の寸法や構え方そのものを変える必要が出て来そう.

第3号を作ったときはそれが最終作だと思ったが,こうして第4号を使ってみるとその安定感から来る弾きやすさや疲労感のなさは格別だ.座り心地だけを言えばピアノ椅子より一歩劣るが,しかし携帯性/バス演奏へ特化して自分のスタイルに合わせて作れる優位性など総合点で第4号バス椅子にやはり軍配を挙げたい.
自重は前作が3.8Kgに対して1Kg増加し,4.8Kgとなった.

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反省点
椅子脚と座面部品の接合方式は作り始めた後に蝶ねじとナットに変更した.その為に横揺れに対する部品寸法上の対策に甘さを生じてしまった. 即ち座面両横が脚に接する高さは6センチであるが,この構造にするのなら8〜9センチにすれば横揺れはほとんど生じなかったと思う.残念ながら意識して体を動かすとプラスマイナス1センチ程度の横揺れが発生するが,私にとってこれは許容範囲の内なのがラッキーだった.

前脚は座面前縁から6.5センチ突き出ているが,もっと突き出ていれば更に足は安定したと思う.

2002/11/29


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