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落語家は”間”で勝負するそうな。 台本は既に決っている。あとはどのように間を入れるか、それで笑いが取れるかどうかが決る。ある落語好きは 前座と真打ちの差は その”間”ひとつに掛っていると言う。 寄席に通って、真打ちの噺は”次にどういうせりふをしゃべる”と解っているのに絶妙な”間”に思わずわっと笑ってしまうらしい。

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音楽も最後のところは ”間”の勝負。 演奏する際は表情記号に従うばかりでなく、楽譜に書かれていないまた書く事の出来ない微妙な感覚の表現を心掛けたいものだ。 どの程度それを表現できるかで音楽を言葉のように会話のように、意味深く伝える事が出来るかどうかが左右される。 言うは易いが大変難しい事。

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言葉を音楽の様に、と言う逆の事なら容易。普段我々が交わしている会話では言葉を自然に音楽的に表現出来ている。

会話で気分が高揚しているときは 余り間をおかずアップテンポになるし、自信を持って断定するときは語尾が下がり気味でテンポは落ち言葉と言葉の間も一寸空く。感動が極まれば低い音程で大きく間を取る。教えられた訳ではないが噺家ほどのテクニックは持ち合わせないにしても自然にそうなってしまう。言葉を区切りもなくだらだらと流す事は決してしない。

どこで間を置くかは 自身で喋る言葉の意味が解かっている以上自明の事だ。

我々はステージで 作曲者が書いた台詞を 楽器を使ってその通りにしゃべるわけだが、五線紙に書かれたその意味を洞察し、どのように抑揚をつけ間を置けばその意味を聴衆に伝える事が出来るかを考えてみようではないか。 日本語が解かる我々がたやすく意味のある抑揚と間を操れる様に、”音楽語”の文法や語法とは何かを感じ取って表現して見たいものだ。

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バス弾きの密かな愉しみ”の弦楽五重奏の項でも書いたが、レコードと合わせて弾いてみるとプロの間の取り方が実感できる。 逆にこれまで如何に自分が棒を飲んだような音楽をしてきたかも。上っ滑りでなんと味気ないことだったろう。

2000/10/22

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